hop 夏期のビール造りについて hop

夏でもビールは仕込めます・・・より美味しく仕込むポイントについて


夏期にビールを仕込む場合、そのままでは発酵温度が30℃を超えてしまいます。オフフレイバーは増えますが、それでもそれなりに飲めるビールになります。ウォートを急冷し、殺菌をきっちりおこなえば酸味が出ることはありません。

「夏期は仕込まない」かたもいらっしゃいますが、私でしたら仕込みます。ただ、折角仕込むのですから、ちょっとした工夫でより美味しいビールを造りたいものです。


夏期に仕込むためのポイントを列記します。

1.夏期の醸造に適したビールの種類について
オフフレイバーが目立ちやすいゴールデンエール系よりも、アンバー系、ダーク系、あるいはポーター・スタウトのほうが適しています。(夏にこそゴールデン系を飲みたいのは理解しますが。。。)

同様にホップの苦み・香りが弱いレシピよりも強いレシピのほうがオフフレイバーが目立ちません。
また、リキッドイーストをご使用の場合は高温でオフフレイバーが出にくいタイプを選ぶこともできます。

2.ウォートチラーを使い急速に冷却する
ウォートを煮込んだ後、ウォート温度がおよそ60℃以下に下がってからイースト投入までが、ビールにとって最も無防備で危険な状態、この温度帯ではビールを酸っぱくする野生乳酸菌等(空中を漂う埃に多く生息しています)が盛んに増殖します。

夏期はウォートが適温に冷却されるまでに特に時間がかかります。ウォートチラーを使いこの温度帯をできるだけ短時間で通過することで雑菌増殖の可能性を著しく減少させることができます。

さらにウォートは煮込んだ後、急冷すればするほど不要タンパク等の成分が凝固沈殿し(コールドブレイクと呼びます)、雑味の少ないクリアなビールが得られます。夏期に限らず、ウォートチラーはぜひ揃えておきたい道具の一つです。

ウォートチラーがない場合は、多くの氷を使う等、できる限り急冷してください。

3.発酵温度を下げる方法について
1)たらいと流し水
浴槽でたらい等の浅い容器に水をはり発酵容器を浸けます。水道から水をちょろちょろとたらいの中に注ぎ入れることでウォートを低い温度(25℃前後)に保つことが出来ます。スイカを冷やす要領です。場所さえあれば最も手軽に実行できる方法です。

2)発酵容器を風呂の水に浸ける
家族の入浴が終わったら浴槽の湯を抜き水を張ります。そのなかに発酵容器を浸けてしまいます。
容器が倒れないよう水の量に注意してください。
(発酵温度を高めに設定すると主発酵は1〜2日で終了します。思ったほど困難な方法ではありませんが家族の理解が必要です ^_^  くれぐれも間違えて風呂を湧かさないように。。。)

3)発酵容器保温・保冷箱を使う
詳しくはこちらをご覧ください。

4)気化熱を利用する
水を少し張った浅い容器に発酵容器を浸けます。Tシャツやタオルをその下端が水に少し浸かるように発酵容器に巻き付けます。毛細管現象により、Tシャツは常に濡れた状態になります。Tシャツの水分が蒸発する際気化熱を奪い、ウォートの温度が下がります。

風通しが良い部屋ならこれだけで3℃くらいウォート温度が下がります。風通しが悪い部屋や湿度が高い場合は、扇風機の風を発酵容器にあてると効果的です。(締め切った部屋では蒸れてしまいますのでこの方法は適しません)

5)レジャー用クーラーを使う
アウトドア用レジャークーラーはご機嫌な発酵容器になります。
夏にラガー醸造も可能です。
詳しくはこちらを参照してください。
6)熱帯魚用クーラーとポンプを使う
発酵容器を一回り大きな鍋に入れ、鍋に水を張ります。(写真左)
熱帯魚用クーラー(写真右下)とポンプ(写真右上)で鍋の水を冷却しながら循環させます。鍋を断熱すれば夏でもラガー醸造が可能です。
・・・(一昨年までは冷房無しの部屋で真夏にそのまま発酵させていましたが現在はこの方法か、あるいは風呂の水に発酵容器を浸ける方法で仕込んでいます。ポンプはマッシングで使用しているものをそのまま使用しています。)


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