クリアなエールを仕込む

長い冬も終わって、春になりました。いかがお過ごしでしょうか。
春とは言え、朝晩まだまだ温度が下がります。
この時期を狙って、
思いっきりクリアなエールを仕込んでみてはいかがでしょうか、。
見た目がクリアなビール=フレイバーもクリアです。
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ビールをクリアにする方法は大きく2つです。
一つは、
発酵中の温度を下げて
発酵中に生成される香味成分を、
できるだけ雑味がない、クリアなフレイバーにすること
二つ目は
発酵終了後に温度を下げて、
ビール中のイーストその他の不要成分を
できるだけ排除すること です。
まず一つ目、
【発酵中の温度を下げる】
エールもラガーも、
生物ですので発酵温度が高いほど(限度はあります)、
活発に活動=発酵します。
活発に活動すると、華やかな、複雑な香味成分を
多く生成しますが、逆に「雑多な」成分が気になる
ようになってきます。
お好みにもよりますので、どちらが上質なビールかは
申し上げることができませんが、
ここではよりクリアな、ビールを目指します。
そのためには
イーストが健全に発酵できる下限の温度(追通のエール
イーストでは19~20℃)近づけます。
朝晩の冷え込みを利用して、場合によっては氷も使います。
PETボトルに水を入れて凍らせ、それを保冷剤に使うと簡単です。
なお、健全に発酵が終わったら
念のために一旦温度を25℃くらいまであげて、
2日間ほど放置、イーストが発酵しきれなかった糖分
の発酵を促進させます。(オプションです)
二つ目
【発酵終了後に温度を下げる】
発酵が完全に終わったら澱引き(澱除けて別容器に移し替える)
をして、温度を可能な限りさげていきます。
温度が低い場所に移動させるか、氷を使って1~7日くらい、
19℃~0℃の範囲内でできるだけ低い温度まで冷やしてから
瓶詰めします。(コールドクラッシング)
透明な発酵容器をお使いのかたはおわかりだと思いますが
発酵終了直後のビールは、イーストや蛋白等の不要成分が
液中いっぱいに舞っていて濁っています。
大雨直後の川のようです。
この濁りは
上の方から徐々にクリアになって行きます。
最初上から数ミリほどクリアになっているだけですが
クリアな層と濁った層の境界が徐々に下がって行って
最後は下の方までクリアになります。
この境界の下がる速さは温度が低いほど早いです。
0℃では一日で大半がクリアになりますが、
24℃では10日程かかっても下の方1/3くらいは
まだ濁ったままです。
濁りを楽しむウィートやWeizenは別にして、
クリアなビールをつくるには
この濁りをできるでだけ除去します。
ここから相澤お勧めですが
0℃で一週間、7℃でしたら2週間くらい冷やします。
サーモスタット付きの発酵専用冷蔵庫をお持ちのかたは
別として、お持ちでない場合は冷蔵庫を使います。
発酵容器のままでは冷蔵庫に入らない、場合は
厚さ0.08mmのポリ袋を使います。
tmp_polybag.jpeg
発酵が終わったビールを、ポリ袋に移し替え
口を二重の輪ゴムで縛ります。
これを冷蔵庫に入れて冷やします。
このとき段ボールやタッパー等を受けに使います。
ポリ袋に入ったビールは「受け」によって形を自由に
変えられます。
例えば10Lのビールは平らにすれば25cm*25cm*高さ16cm、
これなら冷蔵庫にも入ります。
冷蔵庫で1、2週間冷却して
不要成分を沈殿させたビールは、見た目もフレイバーも
驚くほどクリアになっています。
いよいよ瓶詰めです。
せっかく沈殿した澱が舞い上がらないよう、受けごとそっと
冷蔵庫から取り出します。
このビールを一旦ボトリング容器に移し替えます。
できるだけ澱を混入させずにサイホンできるように、
ポリ袋の形や傾きを工夫します。
ポリ袋の形、澱の位置、サイホンチューブの位置などが決まったら、
10分ほどそのままおいて、澱が再度沈むのを待ちます。
あとは通常どおり、プライミングして瓶詰めすれば完成です。
なお、
このようにしてクリアにしたビールは瓶内発酵に時間がかかります。
瓶詰めの際にイーストを少し加えると、発酵がスムースです。
このイーストは、仕込みのときに全部使わず少しだけ残しておきます。
発酵終了後の澱を滅菌した容器にとっておいてもよいです。
仕込み方は以上です。
さて、
このようにしてクリアにしたビールには
ホップアロマを効かせたビールととても相性がよいです。
例えば「ホップバースティングアメリカンIPA」を
この方法で仕込んで見てください。
あまりの美味しさに、驚かれると思います。
もっとボディを落とした
「ホップバースティングアメリカンペールエール」も
近日発売予定です。

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